クラウドワークスがAIに特化した仕事マッチングサービス「AIクラウドワークス」を正式リリースしました。2026年8月20日です。事前登録したAI技術者・専門家は1万人を超えています。
報じられているのは企業側の話ばかりです。ただしこのサービスには仕事を受ける側にとって見逃せない情報が公開されています。募集されている職種の一覧。そして同社が持つ実際の発注データです。
何が起きたのか
クラウドワークスは登録ユーザー778.7万人、クライアント110.4万社を抱える国内最大級のクラウドソーシング事業者です。そこがAI領域だけを切り出した別サービスを立ち上げました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | AIクラウドワークス |
| 正式リリース | 2026年8月20日 |
| 事前登録者 | AI技術者・専門家1万人以上 |
| 依頼する側 | 企業 |
| 扱う範囲 | AI導入の相談から実装まで |
事前登録の推移も公開されています。5月19日に「開始5日で1,000名突破」。6月16日に「1か月で5,000名突破」。7月28日に「1万名突破」。3か月で10倍になった計算です。
AIで動画が作れる時代でも発注は増えています
同社はリリースの前月に、自社の発注データを公開しています。ここがこの話のいちばん重要な部分です。
| カテゴリ | 件数 | 前年比 |
|---|---|---|
| YouTube動画作成・編集 | 43,156件 | +19% |
| バナー作成・バナーデザイン | 5,915件 | +58% |
| 画像加工・画像編集 | 4,988件 | +36% |
| 3カテゴリ合計 | 54,059件 | すべてプラス |
AIで動画も画像も作れるようになった年です。それでも人への発注は3カテゴリすべてで増えています。減っていません。
データを分析した同社のマネージャーはこう書いています。
少なくとも「AIができるから人に頼らなくなる」という単純な図式では説明できないことがデータから読み取れます
増えているのは動画だけではありません
伸び率で見ると、いちばん大きいのはバナー作成の+58%です。画像加工が+36%で続きます。件数の絶対値ではYouTube動画が圧倒的です。ただし成長率では静止画のほうが上でした。
画像生成AIが最も進んだ領域で人への発注が最も伸びています。
発注が続く理由は品質と信頼です
同社は発注者へのヒアリング結果も公開しています。動画編集を発注しているIT関連の個人クライアントの声です。
動画編集・バナーなどの画像制作は人に見せられるレベルのものをAIでできるとは思えない。品質を担保するためには、やはり人の手が必要
もうひとつの理由は技術ではありませんでした。
今お付き合いのあるワーカーはとても良いので引き続き継続したい。このルーティーンを変えたくない
AIに置き換えられるかどうかは技術的にできるかどうかだけでは決まっていません。すでに関係ができている相手を変える手間。これが発注の残る理由として挙がっています。
募集されている職種は8分類あります
AIクラウドワークスのサイトには、登録されているAI技術者・専門家の職種が公開されています。企業向けの説明です。裏返せばいま買われているスキルの一覧になります。
| 分類 | 含まれる職種 |
|---|---|
| 開発・実装系 | AIエンジニア、プロンプトエンジニア、ノーコードAI自動化(Dify、Make、n8n)、AIエージェント開発、RAG開発 |
| 業務改善・推進系 | DX/AXコンサルタント、AIプロジェクトマネージャー、社内AI推進担当 |
| コンテンツ制作職 | AI動画クリエイター(Sora、Runway、Veo、HeyGen)、AI音声・ナレーション(ElevenLabs)、AI画像生成(Midjourney、Firefly、Stable Diffusion、Nano Banana) |
| 専門職×AI活用 | AI活用ライター・編集者、生成AI活用デザイナー、AI活用マーケター(広告・SEO・SNS)、AI活用人事・採用 |
| セキュリティ系 | AIセキュリティ診断、AIプライバシー・データ保護 |
| LLM/教師データ作成 | アノテーション作成、AI出力品質チェッカー(ファクトチェック・校正)、HITLオペレーター |
| データ・分析系 | データアナリスト、AI×BI・ダッシュボード構築 |
| 研修・教育系 | 社内AI研修講師、AI活用アドバイザー、AI教育コンテンツ作成 |
コンテンツを作っている人に関係するのは3番目と4番目です。ツール名まで具体的に書かれています。
注目したいのは6番目にある「AI出力品質チェッカー(ファクトチェック・校正)」と「HITLオペレーター」です。HITLはHuman-in-the-Loopの略です。AIの処理の途中に人間が入る工程を指します。AIが量産したものを人が検証する仕事。それが職種として並んでいます。
仕事を受ける側から見て何が変わるのか
同社は「クラウドワークス アカデミー」の受講者について、こう書いています。
受講者の多くは30〜50代で、AI時代に「仕上げる人」としてのスキルを実践的に習得しています
発注データと職種一覧とこの一文はつながっています。作る工程はAIに寄っている。最後に人が仕上げる工程に発注が残っている。並んでいる職種もAIを動かす人とAIの出力を確かめる人でできています。
AIを使えることが売り物になる段階は過ぎつつあります。AIを使ったうえでその先を引き受けられるか。そこが分かれ目になりそうです。
このデータで確認できないこと
ここまでの数字はすべてクラウドワークスの自社サービスデータです。第三者が検証したものではありません。集計対象は同社のクラウドワークス.jpだけです。業界全体の傾向とは限りません。
発注者の声もIT関連の個人クライアントへのヒアリングとして公開されているものです。何人に聞いたかは書かれていません。
単価についても公開されていません。件数が増えていることと1件あたりの金額が上がっていることは別の話です。「AI案件は高単価」といった数字を見かけてもこの発表は根拠になりません。
AIクラウドワークス自体も仕事を受ける側の登録条件や報酬の仕組みは公開されていません。現時点で確認できるのは事前登録が1万人を超えたことと募集されている職種の分類までです。
よくある質問
AIクラウドワークスは既存のクラウドワークスと別のサービスですか
別のサイトです。ai.crowdworks.jp で提供されています。従来のクラウドワークスにもAI関連の仕事カテゴリはあります。そちらは crowdworks.jp のままです。
仕事を受ける側はいつから登録できますか
事前登録は2026年5月から始まっています。1万人以上が登録済みと発表されています。正式リリース後の登録手順は公式サイトで確認してください。
AIが使えないと登録できませんか
公開されている職種一覧に入っているのは開発職だけではありません。ファクトチェック・校正やアノテーションのように専門知識を使う職種も並んでいます。開発ができることは条件として書かれていません。
動画編集の仕事はAIに奪われますか
少なくともクラウドワークスの2025年のデータでは前年比+19%で増えています。発注者は品質担保と既存ワーカーとの関係を理由に挙げています。ただしこれは1社のプラットフォームのデータです。




