デザイナーの仕事はなくなりません。中身が変わります

2026年8月21日、サイバーエージェントが「AIXデザイナー」という新しいデザイナー像を定義しました。

同時に発表されたのが「2028年までに全社の開発プロセスを完全自動化する」という目標です。この2つは同じ発表に入っています。

自動化とデザイナーの定義が並んでいると、デザイナーを減らす話に見えます。中身は逆です。 リリースを読むと、デザイナーに任せる範囲を広げる話でした。

何が変わるのか、公式リリースの記述だけで整理します。

確認基準日:2026年8月21日。サイバーエージェント公式リリース(2026年8月21日)をもとにしています。

AIXデザイナーとは何か

公式の定義はこうです。

AIX(AI eXperience)デザイナーとは、AIを前提とした開発プロセスに参画し、ビジネス課題の発見・ユーザー体験の設計から、実際に動くプロダクトの実装・改善までを担うデザイナーです。
株式会社サイバーエージェント「AI時代の新たなデザイナー像「AIXデザイナー」を定義」出典を開く

範囲が広いです。課題を見つけるところから、実際に動くものを作って直すところまで入っています。

従来の切り分けと並べるとこうなります。

従来のデザイナーAIXデザイナー
担当する範囲デザイン工程課題発見から実装と改善まで
開発との関係分業同じループに参加
AIの位置づけ制作の効率化開発プロセスの前提

公式もこう書いています。AIによって制作工程を効率化するだけでなく、AIと協働することでサービスで実現したい体験をより速く高い品質で形にする。

効率化の話ではありません。

なぜ定義が必要になったのか

背景の説明が具体的でした。

従来は、デザインと開発を分業するプロセスが一般的だった。しかしAI駆動開発では企画から実装、改善までを短いサイクルで繰り返す。そのため従来のデザインプロセスでは対応が難しいケースが発生していた。

公式はこれを課題としてはっきり書いています。デザイン工程をAI駆動開発のループに十分組み込めない。

開発側だけが速くなると、デザインが待ち行列になります。作って直すサイクルが1日で回るのに、デザインの受け渡しに1週間かかる。速くなったぶんが打ち消されます。

ボトルネックはデザインの質ではありません
開発のサイクルが短くなると、分業の受け渡しが追いつかなくなります。同じループに入れる人が必要になったという話です。出典:サイバーエージェント公式リリース(2026年8月21日)

求められているスキル

公式が挙げているのは次のものです。

  • AIを活用できること
  • AIやエンジニアリングへの理解
  • ユーザー体験と開発の仕組みの双方を設計する力
  • プロダクトの改善をリードできること
  • 注目すべきは1つ目と2つ目の関係です。「AIを活用できることにとどまらず」と書かれています。ツールを使えることは前提であって、評価される部分ではありません。

    エンジニアリングへの理解が並んでいるのも大きい変化です。実装できることではなく、仕組みを理解して設計に反映できることが求められています。

    育成の中身も公開されています

    「AIXデザイン室」という専門組織が同時に設立されました。

    項目内容
    役割スキルと役割の明確化。育成機会の提供。習熟度の評価
    第1期の対象社内で選抜したデザイナー
    期間約1か月間の実践型プログラム
    内容AIエージェントを活用した開発プロセス。エンジニアリングの基礎。実際のプロダクト開発

    約1か月です。 数年かける再教育ではありません。既にデザインができる人に、開発の仕組みの理解を足す設計になっています。

    そして評価の仕組みを作ると明記されています。定義して終わりではなく、到達度を測る基準まで作る流れです。

    執行役員の言葉が一番はっきりしています

    クリエイティブ担当の佐藤洋介執行役員のコメントが、この発表の立ち位置を示しています。

    AIが前提となる時代だからこそ、人が発揮すべき創造性や、ユーザー体験を設計する力は、これまで以上に重要になると考えています。AIはクリエイティブを代替するものではなく、人がより本質的な価値創出に集中するための技術であると、私たちは考えています。
    佐藤洋介 執行役員(クリエイティブ担当)出典を開く

    同社は2016年から「クリエイティブで勝負する。」をミッションステートメントの一つに掲げています。生成AIで開発のあり方が変わってもその考え方は変わらないと書いています。

    個人のクリエイターに何が起きるか

    大企業の組織の話に見えます。ただし発注する側の基準が変われば、受ける側にも影響します。

    この定義が広まった場合、変わりそうなのは次のあたりです。

    変わるもの内容
    依頼される単位見た目の制作から体験の設計へ
    求められる知識ツールの操作からAI駆動開発の理解へ
    評価される部分成果物の点数から改善サイクルの回し方へ

    「AIが使える」だけでは差になりません。 公式が「とどまらず」と書いているのはそこです。

    一方で残るものもはっきりしています。何を作るべきかを決める判断と、体験を設計する力です。ここは公式が「これまで以上に重要になる」と書いた部分です。

  • avex松浦会長Noteから学ぶ「AIっぽい文章の特徴」と直し方
  • よくある質問

    デザイナーの仕事はAIでなくなりますか

    このリリースにその趣旨の記述はありません。求められる役割が変わると書かれています。執行役員のコメントでは、AIはクリエイティブを代替するものではないとされています。

    AIXデザイナーとは何ですか

    サイバーエージェントが定義した呼び方です。AIを前提とした開発プロセスに参加し、課題の発見と体験の設計から実装と改善まで担うデザイナーを指します。

    なぜ今この定義が出たのですか

    同社が掲げる2028年までの開発プロセス完全自動化に向けて、デザイン工程がAI駆動開発のループに組み込めていないことが課題になっていたと公式が説明しています。

    どんなスキルが必要ですか

    公式が挙げているのはAIやエンジニアリングへの理解と、ユーザー体験と開発の仕組みの双方を設計する力です。AIを活用できることは前提として扱われています。

    誰でも参加できますか

    第1期は社内で選抜したデザイナーが対象と書かれています。外部向けの募集についての記述はありません。

    期間はどれくらいですか

    第1期の実践型プログラムは約1か月間とされています。

    参照した情報

  • https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=33737